「玉虫厨子」。

今回の奈良行きでは、久々に法隆寺を4時間かけてガッツリ見てきたのですが、一番驚いたのは、実は「玉虫厨子」でした。大宝蔵院にある実物のほかに、特別展示でそのレプリカが展示されていたのですが、玉虫の羽の使い方も、側面に描かれた絵も、私が勝手な想像とは全然(!)違っていました。
玉虫のほうは、羽を直接本体に並べて貼付けているものと思っていたので、綺麗だとしてもちょっとグロい、なんて思い込んでいたのですが、とんでもない間違いでした。玉虫の羽は、表面が金属の透かし彫りになっている8センチ角くらいの薄い正方形の箱の中に入っていて、透かし彫りの模様を通して輝いている様は、まさに宝石のよう。それが昆虫の羽とはとても思えません。そうした正方形のパーツが厨子のコーナーにタイルのように並べられているのです。
しかしそれ以上の驚きは、側面に描かれた絵。仏教にまつわる4つの場面が四方に描かれているのですが、こんな構図や色の使い方は・・今まで見たことがありません。現代のイラストとしても十分通用する、実に不思議で斬新な絵で、本当にショックを受けました。
ちなみにこれらの絵は、「蜜陀絵(みつだえ)」という、飛鳥~奈良時代だけに現れた一種の油彩技法で描かれています。蜜陀絵のことは、私自身が大学で教えている「色彩学」でも触れることがあるのですが、「玉虫厨子」の絵が蜜陀絵だということも、今回初めて知りました。
Wikipediaによれば、「玉虫厨子」のレプリカは、5年の歳月と1億円以上の費用をかけて作られたのだそうです。

2 Comments

  1. 伎芸天 より:

    ご無沙汰しています。
    貴台の記事を読んで初めて知りました。
    なんとも時の権力の力とは凄まじいものですね。
    これだけの細工をする時間と金と職人。
    レプリカの5年と1億円も執念。
    何事も一人の人間の狂気にも似た執念が始まり…

  2. t-nishimoto より:

    技芸天さん
    最近、日本の歴史をもう一度ちゃんと復習したいなと、本など読んでみたりするのですが、いやはやかつての記憶力も暗記力も衰弱しており、知識を入れるそばから漏れ出てしまうのには、もう自分で呆れてしまいます(笑)。

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